
「マウスピース」とは口の中の保護装置で、「マウスガード」「マウスプロテクター」とも呼ばれています。
激しいスポーツを行う時に、顎や口のまわりにかかる外からの衝撃をやわらげ、歯の破折や、顎の骨折、口の中や外の軟組織のケガなどを防止します。これは脳しんとうの予防にもなります。
マウスピースは上顎の歯につけることが多いのですが、スポーツの種目によっては下の方にだけ、または上下ともにつける場合もあります。
多くのスポーツ選手は、パワーを出すために歯を食いしばります。マウスガード装着時の食いしばりは、マウスガードをすり減らしてしまいます。
マウスガードは少なくとも1年に1回はすり減りや破損をチェックしてもらい、傷んだものは作りかえることをおすすめします。 また成長期のお子さんは、かならず2~3か月に一度はチェックを受けましょう。
スポーツ先進国アメリカの歯科医師会の報告によると、合衆国内でおこなわれるスポーツの試合中にマウスガードを装着することで、年間200,000件以上の口腔領域のスポーツ外傷を防いでいるとしています。
日本においても最近、予防効果が高いという同様な学会報告がみられます。
マウスガードの多様な効果 |
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激しい動きをするスポーツやコンタクト(接触)の多いスポーツでは、顎や顔面領域のケガの発生率が高くなっています。
スポーツデンティスト(歯科医)とは、このようなスポーツによる外傷の予防法の指導や、治療などを行います。
また、スポーツをする人に虫歯や歯周病があると、十分に栄養がとれないばかりか、自分の能力も十分に発揮できず、競技に集中できないことがあります。スポーツを行うには、定期的な歯科検診を受けて口腔の管理をすることも大切です。
スポーツデンティストの仕事 |
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■口腔トラブルと対処法
顎の骨折では下顎の正中部での骨折が多くみられます。すぐに歯科医院に行きましょう。
歯が抜けおちたときは、歯をやさしく洗ってホコリや泥などを落とし、牛乳や水でぬらしたガーゼやハンカチなどで包んだり、乾燥させないようにして、できるだけ早く歯科医院に行きましょう。歯が元どおりになることなることがあります。
口のあたりに軽くボールが当たったりしただけでも、そのままにしておくと、歯の神経が死んでしまい変色歯となってしまうことがあります。ちょっとしたことでも歯科医院で検査を受けるようにしましょう。
[資料提供]東京歯科大学 スポーツ歯学研究室/石上惠一 教授