
お口の中に悩みがある人だけが歯科医院で治療するわけではありません。検診やPMTCなどを定期的に行い、虫歯や歯周病にならないようにすることが予防歯科です。
虫歯や歯周病にならない為の一番の方法は、やはり「歯磨き」です。
普段の生活でお口の中に広がる汚れは、しっかりとしたお手入れ法を身につけていれば、「歯ブラシ」と「フロス」で十分に落せるものです。当院では正しいブラッシングの方法も指導いたしますので、お気軽にご相談ください。
とはいえ、すみずみまで磨けている人はなかなかいません。どうしても磨き残しが出来てしまいます。そういう部分は歯科医師や歯科衛生士などのプロの手で定期的にPMTCを行う方が、より現実的な虫歯予防になるでしょう。
予防として利用されるフッ素などの薬剤は、その方のリスクに応じた使い分けが必要です。
キシリトールは他の糖分に比べ、虫歯をつからないだけでなく、虫歯の発生を少なくするためで、これは疫学的な研究によって明らかになっています。
しかしキシリトールだけでできている製品はありません。成分の中に砂糖や発酵性の炭水化物が入っていると、効果は期待できません。また、キシリトールが含まれている食品で「歯によい」ものは、シュガーレス表示があるガムか、タブレット(錠菓)に限られます。
まずは健康な口内環境が保たれていることが大切です。歯磨きをキチンと行う、正しい食生活をする、定期的に歯科検診を受ける・・・という行動にキシリトール摂取を加えると、虫歯の発生を抑える効果が増します。
キシリトールができるだけ多く入っている(50%以上)ガムかタブレット(錠菓)を1日3回以上摂取します。時期は食後がベストですが、食間でも構いません。口に入れるとだ液がたくさん出てきますから、キシリトールがたくさん含まれただ液をすぐには飲みこまないで、歯に行き渡らせてください。ガムならば5分ほど噛み、タブレットは噛まないで口の中でゆっくり溶かしてください。
1日3回100%キシリトールガムを摂取してプラークが減るのは1~2週間です。更に3ヶ月間摂取すると、虫歯になりにくい状態になります。その後3ヶ月くらい摂取を辞めても効果は持続するようです。
ただしキシリトールを使った虫歯予防法は追加型と呼ばれ、現状の虫歯予防法(歯ブラシ、フッ化物、正しい食生活、歯科定期検診など)に取って代わるものではないことを理解しておいてください。
常識的な摂取量であれば、何ら問題はないでしょう。ただしガムやタブレットに含まれる甘味料として摂取するので、その形状や摂取方法が適しているか、歯科衛生士または歯科医師に相談してください。
なお、乳児の母親がキシリトールを摂取することは、ミュータンス菌の母子感染を防ぐよい方法です。