
顎関節症とは、う蝕(虫歯)、歯周病、不正咬合と並ぶ、重要な歯科疾患の一つで、その臨床症状として、額関節雑音(口を大きく開けたときに、耳のあたりでカクッと音がする症状)や、疼痛(とうつう)、開口障害などが特徴的に認められます。
まだまだ不治の病、精神的なものだと主張する方が多いようですが、原因をしっかりと見つけて解決してあげれば、かなりの確率で治すことができます。
顎関節症は、特に女性に多いこと、経年的に額関節症状を有する子供が多くなってきたことが明らかとなり、1995年度から学校歯科健診で額関節の状態を評価するようになりました。
顎関節症は、咬みあわせや歯並び、虫歯、外傷、悪い癖、ストレスなどが積み重なって発症すると考えられていますが、原因の多くは咬みあわせ不具合によるものです。つまり、正しい咬みあわせに回復できれば顎関節症は治すことができるものなのです。
ただし、かみしめ、くいしばりなどの習癖がある方は、まずこれを治すことが先決です。咬みあわせに不具合があれば、額関節症だけでなく、アゴ周囲や首周辺の筋肉疲労、歯の擦り減り、咬んだ時に痛むなどの症状も引き起こします。
歯がなくなる原因をご存知ですか?
虫歯や歯周病から歯を失ってしまうことはもうご存知のことと思いますが、咬みあわせが原因で、歯が欠けてしまったり、歯を支えている骨が吸収してしまい、その結果、虫歯や歯周病を増悪したりすることもあるのです。
つまり歯を失う引き金は、咬みあわせであることも多々あるのです。
咬みあわせのズレは、くいしばり、歯ぎしり、首や肩のはり、額関節症なども引き起こすのです。
頭の骨とアゴの骨をつなぐ関節の部分(耳の穴の少し前あたり)はピッタリと合っているのに、その状態だと上の歯と下の歯がぶつかり、うまくかみ合っていない状態。
これがよくある「咬みあわせのずれ」です。
この状態だとうまく咬めないので、もっと歯が接触するようにグッと咬みます。>
すると、歯はぴったりと合い、上手く咬むことができます。しかしこれは歯を合わせられるように顎の骨が動いたためで、関節の方はずれてしまいます。
頭の骨とアゴの骨をつないでいるのは、関節の周りにある筋肉です。つまり咬みあわせに使われる筋肉は、前後左右、うまく咬める位置まで常に引っ張られるので、筋肉は緊張(はり)し、放置しておくと正しい動きができずに顎関節症になったりします。
咬みあわせがぴったり合っていると、関節も正常な位置にあり、両方が正しい位置にあると、歯や額関節、筋肉にはストレスがかからず、スムーズなお口の開閉ができます。